2006年12月16日

苦労しているなぁ

ようやく帰還。

で、控え室を見る。思ったことはタイトル通り。
どこかのHPか掲示板の組織票なのかな?
フレイアさんとミミさんでは接点が無さ過ぎて
一発ネタ的な絡みを終えると、間が持たないって感じでw
ミコルに六角姐さん、霧子さんと
やたらに豪華な参加人数は、間を持たせるための苦肉の策と見ました。
でも、いずこの霧子さんも査定表片手に勤務評定つけてるのね(^^ゞ

それはさておき

そっか、「愛」はデータの転送量が多いのですね。
携帯そのものは通話程度にしか使わない私には、かなりの負担増になるかなぁ
メールはタッチタイプ可能なキーボードのシグマリオン3中心だし
そちらにAirH''も刺さっていることだし
ちょっと複雑。
龍子さんと、市ヶ谷のボムの違いは、納得でしたが……
posted by Luf at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

役人に 恨み骨髄 ボーナス日 という変歌もある

わお!
川柳で念願の金賞取れた〜

大鷹さんの偶然のナイスフォローも効いていて
面白い掛け合いになってますね。
デフォルメとはいえ、霧子さんの全身図って初公開?
それだけでも、捻った甲斐があったというものです。

ちなみに没ったサキュバスネタは

「減らず口 叩ける間は 負けじゃない!」

ってやつ。
人知れず消えていくのは哀しいので、ここに書いちゃえw
来週用に、一週間暖めておいたネタを1本投下済み。
連続金はありえないから、気楽なものです。

ちなみに今は、忘年旅行温泉ホテル
シグマリオン3ではFLASHが見られないので
控え室は、まだ見られません。
誰が出たんだろう?
posted by Luf at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月15日

拍手レス&リンク追加

>いつも楽しみに読ませてもらっていますyatterzoooと申します。私もつい先日ブログを開設しました
>NさんとLufさんのブログwoきっかけです。
>あ、変な風に送られてしまった・・・


ありがとうございます。
と、いうことで「レッスルエンジェルスリプレイページ(仮)」をリンクに追加させていただきました。
末永くよろしくです。
posted by Luf at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月14日

リプレイ51 優しい情動(エモーション)

うちの美月が
「各話のアクセスデータを検討したいのですが……」
とせがむので、今回より本文を折り畳ませていただきます。
少々面倒になりますが、理詰めで美月に勝てる気がしないのでご容赦のほどを……

では「リプレイ51 優しい情動(エモーション)」をどうぞ

本編へ
posted by Luf at 14:31| Comment(2) | TrackBack(0) | リプレイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月13日

戯れ言

ドラクエ9は、DSかぁ……

この勢いで「レッスルエンジェルスDS」とか出て欲しいのだけれど
カードバトルにタッチペンは相性良さそうだし
auユーザーの僻みですね(^^ゞ

「ドラクエのリアルは鳥山明の漫画の再現」と線引きされているから
PS3とか、360とかの性能はいらないのかも。
「ブルードラゴン」は、静止すると鳥山キャラなんだけど、動くと違和感あるし……

個人的には大喜びです。

リプレイ進行状況50%
なぜか、導入エピソードと最終エピソードのみが完成していて中抜け状態です。
posted by Luf at 00:32| Comment(3) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

ウォーミングアップを兼ねた次回予告

金井 :えっとぉ……『反則気味ながら3バカ……もとい、3人娘が揃ったことだし、次回予告をやりなさい』だって。
レイ :だったら、まずは決めゼリフを作らないと
ちづる:決めゼリフ?
レイ :だから『君は、生き延びることができるか』とか『来週も、サービス、サービス』とか『月の光は愛のメッセージ』とかあるじゃない。
金井 :レイちゃん、古い……。
レイ :そのくらいでないと、一般の人がついて来れないの。衝撃を呼んだ同心円キャベツを知ってる人なんて、そっち方面の人だけだし。
金井 :だから、アニメじゃないよぉ。
ちづる:アニメじゃない!
レイ :♪ホントの事さ〜……って歌わせないでよ。
金井 :もう、レイちゃん。先に進まないと……(小声で)霧子さんが睨んでるよ。
レイ :はーい。富沢、マジメに原稿読みま〜す。え〜と……『久しぶりに訪れた古の戦士が誘うのは、遙かな未来か。新たな使命を帯びた美少女戦士レイちゃんの……』
ちづる:霧子さんがこめかみ引きつらせてフリップ出してるけど。『それは次々回の予告でしょ』……って、そうなの?
レイ :だって、次回は新人登場の話だから、私の出番が少ないんだもん。そんな回飛ばしちゃおうよ。
金井 :だめだよぉ。レイちゃんがマジメにやらないと、美加のお給料も減らされちゃうんだから。(小声で)霧子さんが査定表に何か書いてるよぉ。
ちづる:(……次々回はどんな話になるんだろう?)まあ、あたしはもう出てきたから、飛ばされても関係ないけどね。
金井 :レジェンドだからって、油断しちゃ駄目だよぉ。まだ名前しか出てないんだし。
レイ :そうそう。最初にキャラが立たないと、どんどん出番が減っていくんだから。タイトルを見なさいっ。『ウォーミングアップを兼ねた』って書いてあるでしょ。誰のためのウォーミングアップだと思ってるの?
ちづる:ドキッ……。
金井 :新人が二人も入ってくるんだから、キャラが立たないと忘れられちゃうよぉ。
ちづる:ドキドキッ……。
レイ :『サバイバー』ってタイトルは伊達じゃないっ。『私が死んでも代わりはいるもの』ってくらいの危機感は持ってないと。
金井 :みんな2Pなんだし……。
ちづる:ドキドキドキッ……。
金井 :それに、新人二人も、それぞれ市ヶ谷さんと芝田さんのコネがあるんだって。
ちづる:そ、そうなの?
レイ :まあ、一人は公式設定だけど、もう一人はリプレイ設定なんだけどね。
金井 :3人娘つながりよりも、強力かも……。
レイ :唯一の売りだった『レベル2ジャーマン』もないし……。
金井 :2P名も微妙かも。「ラ=ピュセル」でジャンヌを名乗るなんて……。
レイ :良い度胸してるわよね……。
ちづる:ジャンヌ永原! ジャーマン一代娘、ジャンヌ永原をよろしく!
レイ :次回『リプレイ51 憎まれそうにないニューフェイス(仮)』……ちづるは、生き延びることが出来るか……。
posted by Luf at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

リプレイ50 アカイイト

 南の島というと、なぜか常に晴天のイメージがある。
 もちろん、そんなわけはない。ちゃんと曇りの日もあれば、雨の日だってある。
 初日は観光。二日目はビーチ。雨が降ったり止んだりの三日目はショッピングと、お空の神様もいろいろ気を遣ってくれているのかな?
 ちょうど良いことに、海外の平板な味付けの料理にうんざりし始めるのも、だいたい三日目くらい。他所の国へ行くと、いかに日本人の舌が驕っているか良く解る。
 そんな時には、大きめのショッピングセンターには大概ある、チャイニーズフードのワゴンがお値打ちです。紙皿の大きさで料金を分けて、後は気儘にバイキング。炒飯やら、焼きそばやら、エビチリやら、日本人好みの味付けの料理を盛り放題。
 お手軽に舌と胃袋を満足させるには、ベストの選択なのだな。
 まあ……安いし、美味しいので、知り合いと顔を合わせる可能性は大だけど。
 たとえば
「美加ぁ、あなたお金持ちなんだから、奢りなさいよ」
「私、庶民だもん」
「何言ってるのよ。ブルームカップの賞金をまるまる残している上に、QOLPジュニアタイトル戦2連勝で、タイトル料も入ってるじゃない」
 などと、聞き慣れた声がしたりする。
 ついでに
「お金持ちと言えば、ノエルちゃんも臨時収入あったよね」
「和希さん。仮にも先輩なのですから、後輩のお小遣いを宛てにしないで下さい。……確かにノエルさんは、11月の初防衛ならずとはいえ、タッグタイトル料。更には年末のプロレス大賞の最優秀新人賞獲得と、臨時収入が続いていますけれど」
「……ぶい……」
 と言う声も聞こえてきたり。
 賑やかに騒いでいるのは、やっぱりうちの選手達。
 英語が苦手な若手達は、集団でショッピングしていた様子。とりあえずはまだ、彼女たちにとっては実用品の、安いワゴン売りの地元ティーシャツ程度しか買っていないのは賢明です。
 最終日前には、みんなでデューティー・フリー・ショップに行くのだし。家族等へのお土産は、その際の私の気分次第の奮発を待つのが正解。そのあたりは3年目の金井美加、富沢礼子がぬかりなく、後輩達に指導しているのかも知れない。
 まあ、見つかってしまっては仕方がない。安いブランチくらい奢ってあげましょう。
 無邪気なハゲタカたちは、ここぞとばかりに2杯目の大皿片手にワゴンに群がった。
「……そういえば、霧子さんは一緒じゃないんですか?」
 と富沢礼子。秘書の井上霧子とは、そういつもいつも一緒にはいません。
 今頃、ベッドの中でウンウン唸っているはずです。
「病気? お医者さんを呼ばないと」
 と慌てるのは金井美加。
 大丈夫。二日酔いというやつだからね。あれしきのお酒で、情けない。ミネラルウォーターでも差し入れてやれば、充分です。
 看病(?)には、朝帰りの渡辺智美を罰として置いてきた。渡辺のすることだけに、霧子の方が罰を受けているような気がするけど、まあいいや。夜通し踊れる渡辺の体力を見習って、精進なさい。
「霧子さんが二日酔いとは意外ですね。やはり旅行で、はしゃいでいるのでしょうか?」
 眼鏡の位置を直しながら、ギムレット美月が首を傾げる。
 アハハと笑って、その肩を突っつくのはスターライト相羽だ。
「美月ちゃんだって、結構はしゃいでいるくせに」
「そんなことはありません。和希さんと一緒にしないで下さい」
「だって、明日の海中観光の潜水艦の予習にって、読めもしない英語の魚類図鑑を買ってたのは美月ちゃんでしょ」
「あ、あれは写真が綺麗だったから……」
 そんな二人に目もくれず、白石なぎさは、買ったばかりのティーシャツを並べて嬉しそう。
「……お魚……これも、お魚……カニさん……カメさん……」
 美月となぎさは、海外は初めて。楽しんでくれているようで何よりです。
 さすがに、渡辺の1年間未勝利の大記録更新は難しい。
 11月に初勝利を上げた美月は、その月にもうひとつ勝って、12月も2勝。
 ノティア・リチャーズという好敵手を見つけて、身近な目標が出来た分、表情が明るくなった。
 最年少でタッグベルトを獲得したなぎさだったけれど、さすがに防衛戦では警戒されて陥落。2月のリマッチに向けて、パートナーの鏡明日香の指導の元、頑張っている最中。
 相羽が逃したQOLPジュニアベルトは、ブルームカップを連覇した金井が、難なくデニース・ハンを撃破して奪回。リマッチでもハンを寄せ付けずに、ガッチリとベルトをキープして新年を迎えた。
 金井が、相羽より実力に勝っているとは思えないだけに、これは相性の問題でしょう。
 大きな動きこそ無いものの、富沢も相羽も順調に力をつけており、成長曲線の上り坂をまっしぐらに駆け上がる彼女たちは、傍目に見ても眩しいくらいに輝いている。
「うーん。やっぱりベルトのひとつも持ってないと、懐が寂しいなあ。……社長。美加とタイトル戦をやらせて下さいよぉ」
「ふーんだ。レイちゃんなんかに負けないもん」
「言ったわね」
「言ったよー」
 こらこら。残念ながら順番です。
 2月にジュニアタイトルに挑むのは、白石なぎさ。
 急に名を呼ばれて、当の本人は、きょとんと顔を上げて眼をパチクリしている。
 相手は目の前だ。同期の富沢が金井に気合いを入れる。
「美加。いくらなんでも、新人相手に負けないでよね」
「うん、頑張る」
 対するなぎさは……相変わらず。ひとつ先輩の相羽と、同期の美月の方がやる気満々で煽っているくらいだ。
「ノエルちゃん、気合いと根性だからね」
「……?」
「和希さん。ノエルさんに気合いは無理があります。この場合は無心かと」
「それじゃあ、いつも通りってこと?」
「確かに……そうですが」
「……いつも通り……でいいの?」
 なんだかんだで、3対2の睨み合いが始まる。
 もうっ。試合はリングで。リングの外には持ち込まないの。それに、今はバカンスの最中でしょうが。
 窘める私の心を、一瞬の違和感が過ぎる。
 何だろう?
 何かひとつ、重要なピースが抜け落ちているような欠落感。
 相羽、なぎさ、美月のトリオが奏でるハーモニーに対して、金井、富沢……もう一人誰かが足りないような、落ち着かない気持ち。
 彼女たち二人に欠けている、力強さや躍動感を補う誰か。
 過ぎ去ってしまった時間の中に、取り残されてしまった誰かが足りない。
 単純に錯覚とは、言いきれないもどかしさ。
 間違いなく、彼女たちは、出逢わなければいけない誰かと出逢えなかった。
 OBの氷室紫月がいたならば、「それも運命……」と呟くかな。私は運命論者じゃないけれど、金井と富沢を見ていると、そう考えざるを得ない。
「ごめん……」
 金井と富沢に、そして出逢うことの出来なかった誰かに、私は心の中で謝った。転生輪廻があるならば、並行世界があるならば、どこかで3人揃って、賑やかに笑っている世界があることを祈りつつ。
 しばらく彼女たちの賑やかなショッピングにつき合い、あまりねだられすぎない内に別れた。タオル専門店で、お揃いの可愛らしいタオルを買ってあげるくらいなら安いものです。これが鏡明日香や北条沙希では、どこかのブランドショップ行き確定なのだから。
 若手達と別れ、一人で街をぶらついていたところ、今度は……
「な……なんですの社長っ」
 珍しくも、慌てる市ヶ谷麗華と遭遇した。
 何ですのと言われても、私だってお散歩くらいは致します。
 それに、どちらかというと、そのセリフは私の方が言いたいのだけれど。
 彼女が出てきたお店は、ブランドショップでもジュエリーショップでもなく、日本でもお馴染みのラーメン屋さんのチェーン店なのだから。
「オーホッホッホッ。せっかくの機会です。庶民の味覚というものを体験してみるのも趣がございますわ」
 あ、立ち直った。
 とは言うものの、バッグにしまう前のお財布から、充分に使い込んだチェーン店のスタンプカードが覗いてたりする。スタンプが溜まると、餃子一皿無料のやつ。
 まあ、見ない振りをしてあげましょう。
「市ヶ谷なら海外も慣れているから、こういうお店の方が珍しいかな」
「も、もちろんそうですわ。日本でこの手の店に入るところを見られたら、全世界1000億人のわたくしのファンの夢を壊してしまいます」
 ……いつの間にか、400億人ほど増えている。
 それだけの実績を上げて、より自信も高めたのでしょう。
「それはともかく、きちんとした形で言ってなかったね。EXタッグリーグ優勝と、プロレス大賞の最優秀選手賞、おめでとう」
「当然ですわ。タッグリーグの方は、近藤の頑張りあってのことですが」
 ふむ。ちゃんと他人を立てることを覚えたのね。
「このわたくしが、力不足の貧弱な連中を相手にする必要などございませんもの。近藤が蹴散らしてくれたからこそ、取るに足らない相手に手を患わせずに済みました」
 こらこら。
 まあ、確かに市ヶ谷は別格といえる実力を見せつけた。唯一、彼女の相手になりうる可能性のあったIWWF世界ヘビー級チャンピオンのクルス・モーガンですら、市ヶ谷麗華の心を動かすことは出来なかったのだから。
「少し、歩きません?」
 サンダル履きの彼女の爪先は、自然とビーチの方へと向いてしまう。
 眺める空は雨雲が切れ、微かに夕映えのオレンジが覗いている。暗色の海に、ほんのりとオレンジが色を添えた。
「残念ですわね。少し潮風に吹かれたかったのですが……」
 寄せては返す波音。
 夕凪なのでしょう。潮の香りを孕んだ空気は澱み、薄いサマードレスの裾さえ揺れない。
 静かな……はずなのに。
「うおりゃあっ!」
 澱んだ熱気を掻き回すかのように、どこからか熱い気合いが流れてくる。
「はあっ! チェストォォォォッ!」
 この聞き覚えのある声は……。
 呆れ顔の市ヶ谷が肩を竦めた。
「止めて差し上げたらどうですの。リゾートには似つかわしくない振る舞いですわ」
 ヤシの木陰で、キックミットをつけたレフリーの長谷川美由紀相手に打撃練習をしているのは、サイクロン近藤。
 誰か、この子にバカンスの意味を教えてあげて。
「もう、近藤。こんな所まで来て、何をやっているのかなぁ」
「あ……社長。あはは、見つかっちゃいました?」
 罰の悪そうな顔をしたものの、私の隣にいる市ヶ谷を見て表情を引き締める。
「休むときには身体を休めなさい。その為に、わざわざ南の島まで来ているんだよ」
「はい。ちゃんと楽しんでます。午前中に買い物とかもしたし……。でも、やるべき事をやっておかないと、いつまでも追いつけませんから」
 キッと市ヶ谷を睨む。
 当の市ヶ谷は「あ〜ら大変ですわね」と涼しい顔だ。長谷川も災難だけれど、一応バイト料は近藤から出るらしい。免税店でのブランドバッグが代価なら、安いものかな。
「そうですわね。……その努力に免じて、機会を差し上げますわ」
 巻き毛を掻き上げながら、市ヶ谷が笑う。
「3月。わたくしのベルトに挑む機会を差し上げますわ」
 こら、勝手に決めるな。
 言われた近藤もすっかりその気だ。ちょっと悔しいけれど、組むしかないか。
 でも、何で3月?
「本当の意味で『市ヶ谷麗華』と戦える最後の機会となるでしょう。光栄に思いなさい」
 謎かけのような言葉に、私も近藤も顔を見合わせた。
「最後の機会って……市ヶ谷?」
「草薙さんの衰えが見え始めたのは、確か22歳の春でしたわね」
 生暖かい風が、陸から海へと吹いた。
 相変わらず綺麗にカールされた髪が揺らぎ、海へとなびく。
 凪の時間が過ぎたのだ。
 髪を抑えながら、市ヶ谷麗華は寂しく微笑んだ。
「わたくしも、もう22歳ですから……」

 東京へ帰った私たちを迎えてくれたのは、意外にも週刊レッスルの記者、西町珠理だった。南国ボケしている私たちを、彼女のウールコート姿が現実に引き戻してくれる。
「良いバカンスだったようですね。皆さんの顔を見ると解ります」
「ありがとう。……で、何かあったの? 他の団体は年明け興行の真っ最中だし、西町さんをお迎えに寄こす余裕が、週刊レッスル編集部にあるとは思えないんだけど」
「それは買いかぶりです。……もちろん、お出迎え以外の用件もあるのですが」
「で……それは、何?」
「私の古巣からのお願いです」
 彼女の古巣。老舗の女子プロレス団体、新日本女子プロレス。
 倒産という最悪の事態から、有志たちの頑張りで再び軌道に乗り始めたライバル。いったい私たちに、何の用件があるというのでしょう。わざわざ、西町さんを介してまで。
「選手を一人、預かって貰えないかとの相談です」
 選手? こんな時期はずれに?
「はい。新女の再立ち上げから参加していた選手なのですが、旗揚げ前に膝を痛めて手術せざるを得なくなり、ようやくリングに立てるようになったもので」
 それは良いけれど、どうして「ラ=ピュセル」に……。
「練習は制限されていても、その後に入ってきた新人選手達の相談役になってくれていたものですから、ここに来てのデビューで新人扱いするのも、ちょっと。それなら、環境を変えて他団体に移籍した方が良いのではと」
 なるほどね。移籍先が小さな団体だと、左遷っぽいし。そこで、うちなのか。
「平たく言うと、そうです。それに、他の団体では人を入れる余裕が無くて……。社長さんの所でしたら、まだ6人ほど受け入れられるかなと。本来なら、新女の人間が話すべき事ですけれど、昔の因縁もあって、代わりに私が……」
 そういう事情でしたら、断る理由もありません。
 過去のいろいろなわだかまりを解くには、良い時期なのかな。それに、新人達の相談役になれる性格なら、問題を起こすとは考えづらいです。
「うちの方は問題なし。ただ、最後にひとつだけ確認してから……かな」
「何でしょう?」
「その選手が、『ラ=ピュセル』移籍先とすることに同意してくれるかの確認が必要。周囲の思惑がどうあれ、本人が希望すべき所で頑張るのが一番よ」
「解りました。……これで、正式に彼女を交えて話が出来ます。ありがとうございました」
 簡単な取材を終えると、西町珠理は踵を返す。
 軽やかにブーツで床を蹴りつつ、向かう先は新女の事務所だろう。

 後日、正式に新女からの申し出があり、選手の移籍が決定した。
 ジャンヌ永原は、2月のシリーズから、私たちに合流することとなる。
posted by Luf at 21:54| Comment(3) | TrackBack(0) | リプレイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

師走

う〜年末なのです。
予定日過ぎても(リプレイが)産まれないけれど、社会人には色々あるのです。
あんまりお仕事で苛めると、呪いますですよ。祟りますですよ。

などと美沙口調で責めても、お仕事はお仕事。
どーしようもないわけで……。
土日は休めるから、ここで仕上がるでしょう。
現在の進行状況、約半分。

その割りには、今週投稿分のレッスル川柳は、はやばやと送っていたりする(^^ゞ
毎週一首ずつしか送ってないことを考えると、採用率良い?
それとも、投稿者少ない?

控え室のヒールトリオも良かったなぁ。
グリさんはヒール軍団のアイドル的存在になりつつあるのかな。

でも903i……ほぼ、Wiiと同価格なんですよね。
そっちも欲しいような……レッスルと、ポケモンで一杯一杯なくせに。

ああ……考えが纏まってない……
posted by Luf at 01:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月05日

ジャック・スパロゥと謎のアクセス

今日は本当なら「リプレイ50 足音(仮)」を書く予定でしたが
店頭で「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」のDVDが売っていたもので
購入&観賞となってしまいました。(前半ダルいけど、後半楽しい)
2時間30分の映画を観ては、作文の暇なんてあるわけもなくて……
たぶん、木曜日完成かなぁ。
しばしのお待ちを。

ところで

今日のアクセス状況をチェックしていたら
なぜか午前11時台に、45人の方がご訪問。(ビューではなく、IPで)
平日……だよね? 何でまた、そんな時間に45人……。
ありがたいけど、ちょっと気になったり。
参照元を見ると、お馴染みのサイトか、ブックマークばかりで
どこかで紹介された様子もないし……謎w

拍手レス

>美月がついにプロレスラーになった瞬間ですね。目頭が熱くなりました。これからも楽しみにしております!


ありがとうございます。
感情を表さないタイプの子なので、きっと観客の支持を得るのに苦労するだろうなぁ。
タイプこそ違え、ノエルも苦労するタイプ。
前にリプレイでも書いたけれど
そこにわっきーが入ると、とたんに変わるような気がします。
QT&レイ&ちづるとはまた違った意味で、絶好のトリオなのかも知れません。
いずれまた、美月視点や、わっきー視点でやってみたいところ。
ノエル視点……だけは、無理ですが(^^ゞ
posted by Luf at 23:22| Comment(3) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月04日

インサート49-50 TAKE ME HIGHER

 AM05:30
 音量を絞った目覚ましの電子音。手探りでベッドサイドの眼鏡を取る。
 窓の外は、まだ夜。
 萎んで床に落ちた風船。踏み割らぬようにテレビの上へ。
 もう用をなさない風船でも、割ってしまうと同室のノエルさん……白石なぎさが哀しい顔をする。
 私の目にはヘリウムを封じ込めただけの色つきゴムとしか見えないが、彼女にとっては執着すべき価値があるものだ。
 二段ベッドの上で眠る彼女を起こさぬように、静かに練習用のジャージに着替える。
 廊下の空気は冷たい。腕時計のデジタルを操作。気温確認10.3度。
 調理場の灯りをつける。
 夕べの内に米を研ぎ、水を張った炊飯器にスイッチを入れる。
 ガスレンジに、鍋と焼き網を並べる。
 昨日の朝食はアジの開き。順番から、今日は塩鮭。朝食のメニューは合理的。
 冷蔵庫から取り出して、2切れずつ焼いてゆく。
 引退した草薙みこと先輩がいた頃は、鉋箱の中に削りたての鰹節を用意してくれていたけれど、今は名残のように残された鉋箱が棚の隅に置かれているだけ。
 削り節のパックで出汁を取る方が合理的。
 でも、寂しいと感じてしまうのは何故?
 冷蔵庫に根菜の煮物やきんぴらゴボウ、青菜のおひたしなどが用意されている。
 昼食と夕食を作ってくれている寮母さんの心遣い。
 私自身、ハードな基礎トレーニング前に、胃に物を入れる余裕は、まだ無い。
 トレーニング前に栄養補給をしておいた方が効果があると解っていても、ハードな基礎訓練に、胃が消化をやめてしまう。
 プロテインや、バナナを少量だけ口にするのが精一杯。
 AM06:00
「……おはよ……」
 寝ぼけ眼の白石なぎさが起きてくる。
 玄関と合宿所の小さな庭の掃除は、今日は彼女の役割。
 こうして、また一日が始まる。

 河原までのランニング。心拍数を高めるウォーミングアップ。
 ストレッチ。関節や腱をほぐす。
 好天。そのまま河原でトレーニング。
 ジャンプして膝を胸につける。瞬発力を養う。
 体格の近い先輩の美加さん……金井美加選手と組む。
 抱き上げられ、身体を左右に振られる。私が重り代わり。
 交代。美加さんの身体を抱き上げる。
 重りと違って、人の身体は重心がぶれる。しなやかな背に、時折、強靱な背筋が窺える。あのスープレックスの源となる力。私には足りない力。
 パートナーを抱き上げたまま、50メートルダッシュ。手を振れずに全力疾走。バランスの悪いウエイト=人体。かなり堪える。
 でも、同期の彼女には負けたくない。
 ロープ飛び、スクワット等々……。汗でティーシャツが重い。
 私にとっては充分なトレーニングだが、先輩達にとっては、まだアップのようなものらしい。まだ、体力すら追いつかない。
 河原を去る前に、新人は声出し。
 志願して、もう一年新人扱いで練習する先輩の和希さん……スターライト相羽選手の声が河原に響く。
 ノエルさん、私。声が小さい。この練習だけは意味不明。
 試合中、和希さんのように声を張り上げる選手もいれば、明日香さん……鏡明日香選手のように、ほとんど声を発しない選手もいる。
 出来るに越したことはないが、私には合わない。
 けれど、課せられた練習メニューはこなさねばならない。
 大きく息を吸い込んだとたん、背後から胸を揉まれた。
「☆◆#@▽★ッ!!」
 虚をつかれ、意味のない悲鳴。
「エッチ!」
 と叫んで振り返ると、先輩のレイさん……富沢礼子選手。無礼な振る舞いであっても、先輩を怒鳴りつけることなどできない。慌てて言葉を取り繕う。
「……なのは、いけないと思います」
「あー惜しいっ。髪形も声も文句なしなんだけれど、そのセリフは眼鏡を外して、メイド服着用。尚かつ、母親が子供を諫めるような口調でお願い」
 意味不明。でも、妙に嬉しそう。不思議。
 それらは、いつものこと。彼女には独自の世界がある。
 悪びれることなく「意外にあるわね……」と呟いてから我に返り、悪戯っぽい笑顔を私に向ける。
「ちゃんと大きな声を出せるじゃない。その勢いでいきなさい」
 正論。ちょっと悔しい。
 何とか回数をこなし、先輩達は合宿所に隣接するジムへ戻る。和希さんとノエルさん、私は近くの神社までランニングで移動。
 そこの長い石段をダッシュで昇降する。有酸素運動。持久力の訓練。
 セットの合間、和希さんに質問。
「あの声出し練習ですが……」
「美月ちゃんも、ノエルちゃんも、苦手みたいだね」
 顔を見合わせ、ノエルさんと二人、頷く。
「いったいどういう意味があるのでしょう。練習意図が不明です」
「意味がないわけじゃないよ。それは……」
 言いかけて、口籠もる。ストレートな彼女には珍しい反応。
「言葉で教えるよりも、実際に感じないとね。……ノエルちゃんは、何となく解るかな?」
 ノエルさんがコクリと頷く。
 悔しい。

 11月。新潟を皮切りに、半年ぶりの中部シリーズが始まる。
 移動は夜。出発前に、全員がジムに揃って軽くトレーニング。夕食。
 社長と秘書の井上霧子さんが合流し、暫定の対戦カードを発表。
 美加さんが、和希さんの奪われた王座を取り戻すためにグレース・ハンに挑む。和希さんは、写真集撮影でシリーズ全休。不満を口にしていても、仕事と割り切って出かけていった。
 ノエルさんは、明日香さんと組んでタッグタイトルのリマッチを静岡で。大会場のメインイベント。自分を恥じつつ、羨望。
 シリーズの最後は、QOLPヘビー級チャンピオン市ヶ谷麗華選手の防衛戦。相手は、スーパーカオス。WWCAの切り札。だが、本人は悠然と頷くのみ。絶対の自信。
「それと、もうひとつ……」
 なぜか、社長が私の方を見る。
「今回のシリーズ。ギムレット美月に、同じ相手とのシングル8連戦を組んでみました」
 聞かされて、まず「キツイな」と思う。シングルはコーナーで休むことが出来ない。日程に余裕があるとはいえ、まだ身体が出来上がっていない私には、体力的に苦しいと判断せざるを得ない。
 私の地元、岐阜大会は7戦目。
 疲労のピーク。みっともない試合は、知人に見せたくない。
 でも、私の口から出たのは別の言葉だ。
「相手は、誰でしょう」
「ノティア・リチャーズ。すべて第1試合で申し訳ないけれど、美月には大事な試合になるはず」
 言葉の外にあるもの。期待。
 先月のシリーズで一度、シングルで戦った。手の合う相手。そして、手の届く相手。
 初勝利のチャンス。次のステップへ進むために、是が非でも掴まねばならぬ物。
 互いのデータを分析。総合的な能力は彼女の方が上。でも、グラウンドの攻防なら、私の方に利がある……はず。
 8連戦。後になればなるほど、疲労の影響が残る私の方が不利になる。
 勝ちたい。
 チャンスは、ある。

「……がんばれ〜……」
 背に添えられた小さな掌。私を気遣う、同期の息遣い。
 緒戦。新潟。彼女の故郷。ベルトを巻いての凱旋。いつかは自分も……。小さな決意。
 たった一人の同期。お互い、人づきあいは苦手。適度な距離感。心地良さ。
 勝ちたい。
 胸に渦巻く不安。頼りない心。……何が足りない?
 ずけずけと私の距離に入り込む心。力づけてくれる笑顔。
 スターライト相羽。
 彼女がいない。
 不安。ここで勝てなければ、一生勝てないような恐怖。
 テーマ曲。歓声。私の曲。振り返る。おっとりとした顔。不安。
 ライト。眩しい。歓声。拍手。私の名を呼ぶ声。
 振り切りたくてリングに走る。
 第1試合にしては客席は埋まっている。早めに出てくるであろうノエルさんが目的?
 青コーナー。見下すような視線。生意気なブラウンの瞳。ノティア・リチャーズ。
 眼鏡を外し、睨み返す。ぼやけた視界。真正面から来る敵意。
 そして、ゴング。
 組み合う。力比べ。圧倒的に不利。躰を捻り、アームホイップ。成功。グラウンドに持ち込む。ノティアの拒否。打ち込まれる肘。胸元に痛み。
 ロープに振られる。全力疾走。カウンターでエルボー。その前にドロップキックが突き刺さる。受け身。天井のライトが眩しい。
 データ検索。ノティア・リチャーズ。自分のデータと比較。
 勝っている点。関節技の技術。
 劣っている点。経験。パワー。技の豊富さ。等々。
 唯一の希望。ノティアの得意技。同じ関節技。
 彼女の欠点。性格。我が侭。自信過剰。
 私の武器……無し。
 自嘲しかけた時、無駄に元気な声が耳元に蘇る。
「気合いと根性ですっ!」
 スターライト相羽。彼女の持論。つい、頬が緩む。
 武器になるかは不明。でも、無いよりはマシ。
 右腕を取るノティア。脇固め。くるりと身体を返し、逆に腕を取って脇固めを返す。慌てて後退。逃げられる。
 ノティアの舌打ち。作戦変更?
 いきなりのヘッドバット。
 優位な打撃で、ダメージを重ねる作戦。打開策。……組み付くのみ。
 タックル。力不足。倒せない。頭部に衝撃。ヘッドバット。連発。ふらつく視界。リングが回る。背中に衝撃。ボディースラム。
 髪を掴まれ、起こされる。その手を払い、エルボー。ヒット。続けて2発。防御のモーション。すかさずドロップキックに変更。ヒット。ダメージ……中程度。追い打ち。背後へ。スリーパー。
 脇腹に衝撃。彼女の肘。数発。振り解かれる。
 背後に回られ、逆にスリーパー。お返し。こちらも右脇腹に肘。闇雲に、ではなく狙いは肝臓。ボクシングでいうレバーブロー。多少は効果があるはず。
 振り解く。ノティアの顔が歪んでいる。ダメージ有り。
 再びタックル。揺らぐものの倒せない。振り払う素振りを見せて、誘う。狙い通りに、スリーパー。再びレバーブロー。
 腕を振り払い、苦悶するノティアにドロップキック。クリーンヒット。
 その腕を取り、脇固め。ロープが近い。ブレイク。
 ダメージ確認。額に脂汗。歪む口元。痺れを取るように振られる右手。
 チャンス。一気に!
 ロープで反動をつけ、エルボー。だが、息が詰まり、世界が回る。
 受け身が取れず、後頭部に鈍痛。絡みつく腕。払い除けたのは本能。揺らぐ視界にロープ。握りしめる。ブレイク。
 呼吸可能。ダメージ大。喉元。頭部。
 ラリアート……。
 立ち上がろうとする背に、容赦のないキック。まだ充分に筋肉のついていない背中。内臓にダメージ。
 何とか立ち上がる。反撃。タックル。崩れる膝。再び襲うラリアート。かろうじて受け身。
 フォール。手を伸ばした先にロープ。幸運。ブレイク。
 ふらつく頭。立ち上がらなければ……。膝。力が入らない。限界?
 蹌踉めく私を見て、ノティアがアピール。ブーイング。
 右手で時折、脇腹を押さえて顔を歪めている。確かに効いているのに。
 立ち上がりたい。膝が揺れる。身体を支えてくれない。限界?
 勝ちたい。勝てるのに。悔しい。何故力が入らない。悔しい。悔しい。悔しい。どうして……どうして!
「言うことを聞きなさいっ!」
 無意識の叫びが、喉の奥から噴き出す。
 悔しい。
 言うことを聞かない膝を殴りつける。
「立つの! 立って、勝つの。勝たなきゃいけないのっ!」
 声を聞きつけて、ノティアのドロップキック。背中がロープに食い込む。
 この膝が……。勝ちたいのに。勝ちたいのに。勝ちたいのに。
「がんばれー!」
 声。
「根性出せよ。立てっ」
 声。
「もう少しだーっ」
「立ってぇっ!」
 声。声。誰の声? 誰への声?
「しっかりしろよっ。美月っ!」
 ドクンっと、心臓が撥ねる。私?
 次第に声が重なり始める。
「み・づ・き! み・づ・き!」
 身体が熱くなる。声援。私に!?
 応援してくれる。みんな。……負けたくない。負けられない。勝ちたい。勝たなきゃ。
 一瞬で良いから、私の膝。言うことを聞いて。
 声。私の名を呼ぶ声。力になる。情けない身体を支えてくれる。
 ロープに凭れながら、何とか立ち上がれた。でも、まだ膝が……。
 とどめを刺そうと突進してくるノティア。
 大振り。脇腹が、がら空き。
「み・づ・き! み・づ・き!」
 マットを踏みしめる。
 何故立てる? 何故戦える? もう限界のはずなのに。
 でも、私は立てる。戦える。力を貰ったから。
 カウンターのタックル。正確に突きだした肩で、右脇腹を貫く。貰った力のすべてを叩きつける。
 倒れながら、振り返る。
 マットに崩れ、苦悶するノティア。まだ余力がある。フォールは出来ない。
 でも……。
 脇腹を押さえて苦しむ右腕。無防備。
「……勝率30パーセント上方修正」
 腕だけで這って、ノティアの右腕を巻き込む。
 肩関節、構造把握。力点、支点確認。退路遮断。
 悲鳴。ノティア・リチャーズ。
 脇固め。完璧に極まったはず。放さない。放すものか。勝機は今しかない。
 力いっぱい締め上げる。
 のたうつ身体。逃がさない。押さえつける。ありったけの力で。
「美月。ブレイク。……終わったのよ」
 声。レフリー、長谷川美由紀。瞑った目を開く。笑顔。指し示す目線。マットを叩くノティアの手。タップ。ギブアップの意思表示。
「勝った……。勝てた……」
 立てない私の手を、膝をついて長谷川さんが掲げてくれる。
 降りそそぐ拍手。歓声……胸が熱い。
 初勝利。

「大丈夫です。すぐにセコンドにつかないと……仕事が」
 ドクターの診断。大きな怪我は無し。意外に頑丈に出来ているらしい。
 後頭部に氷を入れたビニール袋。冷たいが、心地良い。
 しばらくは安静。転んで負傷を大きくする可能性大。納得できる理由。
 見上げる天井。まだ胸が熱い。
 私への声援。あんなに大勢の声。……だから、勝つことが出来た。
「美月ちゃん、おめでとう。大丈夫?」
 広報の山本広美さん。喜んでくれている。ありがとう。
 手渡された物。携帯電話。
 耳に当てる。大きな声に、慌てて遠ざける。
「やったね! 美月ちゃん、初勝利おめでとうっ!」
 無駄に元気な声。和希さん。……なんだか
「少しだけ解った気がします」
「え? 何が? ねえ、美月ちゃん。どんな風にして勝ったの!?」
 ちっとも話を聞いていない。自分のことのように、喜んで、興奮して。
 まだダメージが残っているのか、視界が揺らぐ。鼻の奥もツンとする。
 そっと目元を拭い、一言だけ呟いた。
「気合いと根性です」
posted by Luf at 01:33| Comment(2) | TrackBack(0) | インサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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